大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和60年(行ツ)68号 判決 1986年1月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人湯浅恭三、同原増司、同酒井正之、同池永光弥の上告理由第一点ないし第三点について

商標登録出願に係る商標が商標法三条一項三号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によつて、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件商標登録出願に係る「GEORGIA」なる商標に接する需要者又は取引者は、その指定商品であるコーヒー、コーヒー飲料等がアメリカ合衆国のジョージアなる地において生産されているものであろうと一般に認識するものと認められ、したがつて、右商標は商標法三条一項三号所定の商標に該当するというべきである。これと同旨に帰する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、これと異なる見解に基づき原判決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。

同第四点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 角田禮次郎 裁判官 和田誠一 裁判官 高島益郎 裁判官 大内恒夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例